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永遠の眠り.jpg

「永遠の眠り」

The Eternal Slumber (2019)

Concept

藤原定家卿和歌より死別を題に詠まれた歌などを本歌として。

 

のどかな春の午後、野辺送りの煙がたなびく空の下で、古びた石仏が慈愛を抱きしめる姿を描きました。

愛する人と死に別れ、追いかけることも叶わず、町で笑って生きていかなくてはならないとき。

「天地の心を慰めるという和歌ですら、すべてが嘘だ。」

そう言って塚にすがりついたのは、もう千年も昔のこと。

今では都も遷り、往来する人々の言葉も変わり、とうとう弔い人も戦に散ってしまった午後。
それでもあなたの白い骨を腹に納めた石仏は、今日も祈り続けている。

あなたが永久に安らかであることを願って。

Inspiration

「たまゆらの露もなみだもとどまらずなき人こふるやどの秋風

 藤原定家『拾遺愚草・下』雑・無常・2617

「あめつちもあはれしるとは古のたがいつはりぞ敷島の道」

 藤原定家『拾遺愚草・下』雑・2582

「かたみかはしるべにもあらず君こひてただつくづくとむかふ霄」

 藤原定家『拾遺愚草・中』韻歌百廿首和歌・恋・1569

「わかれにし身のゆふぐれに雲消てなべての春は恨はててき」

 藤原定家『拾遺愚草・下』雑・無常・2615

「塚ふりてその世もしらぬ春の草さらぬわかれと誰したひけん」

 藤原定家『拾遺愚草員外雑歌』文集百首・無常十首・3292

「おもかげはただめのまへの心地してむかしとしのぶうき世なりけり」

 藤原定家『拾遺愚草・上』奉和無動寺法印早率露胆百首・雑・496

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