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執筆者の写真青木静香:Visual Artist

「本歌取り」とは

更新日:2019年2月25日


和歌の技巧:「本歌取り」とは

ほん-か-どり【本歌取り】名

意識的に昔の歌をもととして作歌すること。また文章中に先人の歌を取り入れることにもいう。主として和歌に用いられる技巧で、背後にある古歌(本歌)と二重写しになって、余情を深める効果がある。余韻余情をたっとぶ新古今の時代に特に重んじられた表現技巧である。(旺文社古語辞典新訂版より)


 

ほんか-どり【本歌取り】名

有名な古歌の心や語句の一部を取り入れながら、別の趣をもった歌をつくること。和歌の技巧のひとつ。「本歌取り」は、とくに『新古今和歌集』時代にさかんに用いられた作歌技巧である。古歌のイメージの上に新たな世界を展開させることにより、また本歌と重ねあわせることにより、複雑な情感をうみだし、余情、余韻を深める。

たとえば、①「み吉野の山の秋風さ夜ふけてふるさと寒く衣うつなり」<新古今・秋下・四八三>は、②「み吉野の山の白雪積もるらし故里寒くなりまさるかな」<古今・冬・三二五>を本歌とする本歌取りの和歌である。本歌に歌われた古都み吉野の寒々とした冬の情景を背景にしながら、季節を冬を前にした秋に映し、さらに、夜がふけるにつれて強まる山風に運ばれてくる冬支度のために打つ砧の音の風情を加えている。それによって秋の夜寒を聴覚的にとらえ、寂しさのいっそう深まった世界をつくりだしている。(三省堂全訳読解古語辞典第二版より)


 

ほんかどり【本歌取り】名

ある古歌の語句や表現をとりいれることにより、その古歌(本歌)の世界のイメージを重ね合わせて、より複雑な表現効果を生み出し、余情・余韻を深めようとする技法。新古今時代にさかんにおこなわれた。また、古歌のかわりに漢詩文や故事・物語などの世界を踏まえる場合は「本説ほんぜつ」という。例:「契りきなかたみに袖をしぼりつつ末の松山波越さじとは」<後拾遺・恋四・七七〇・清原元輔>(百人一首)訳→本文〔和歌〕ちぎりきな…〔注〕「君をおきてあだし心をわが持たば末の松山波も越えなむ」<古今・東歌・一〇九三・よみ人知らず>(訳→本文〔和歌〕きみおきて…)を本歌とし、「末の松山波越」すを「君をおきてあだし心をわが持」つの意に用いた。(三省堂全訳読解古語辞典第二版・古典の基本的修辞より)


 

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