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紀貫之 和歌「袖ひぢて」

  • 執筆者の写真: 青木静香:Visual Artist
    青木静香:Visual Artist
  • 2019年3月5日
  • 読了時間: 1分


紀貫之(生没年不詳)は、平安時代前期から中期にかけての歌人。貴族。三十六歌仙のひとり。『古今和歌集』かな序に記した和歌への情熱が愛しい。

紀貫之 和歌「袖ひぢて」


袖ひぢてむすびし水のこほれるを春立つけふの風やとくらん


夏の日差しを反射してきらきらと滴る雫で袖を濡らしながら両手ですくいあげた清水を。

秋経て冬となり、あのときの清水がまっしろに凍りついたのを、立春を迎えた今日、

春の風がやさしくとかしているのだろうな。

清水を中心に、言葉の連想で四季をぐるりと一周させる大胆で力強い和歌。

​両手の感触から、背後をふきぬける春の風まで、四季のめぐりの喜びに満ちている。

 

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