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五月雨に物思ひをれば郭公夜ふかくなきていづちゆくらむ
しとしとと降りつづける五月雨の音を聞きながら、誰とも会うことなく部屋に閉じこもり、ひとりぼんやりと物思いをして、気がつけばすっかり夜更けとなっていた。
雨雲に閉ざされた空は月すら見えず、まとわりつく闇夜の中を、ふいに郭公(ホトトギスの意)がするどく鳴いて、どこかへ飛び去っていった。
再び静まり返った中で、沈黙は充満し、どういうわけか私は先ほどの郭公におきざりにされてしまったような気がした。
梅雨のなんともいえない寝苦しい夜に、この和歌を思い出します。
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