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執筆者の写真青木静香:Visual Artist

清原深養父 和歌「冬ながら」


清原深養父(生没年不詳)は、平安時代中期の歌人。貴族。中古三十六歌仙のひとり。ユーモアにあふれた見立てによって、景物は親しい友となる。

清原深養父 和歌「冬ながら」


冬ながらそらより花のちりくるは雲のあなたは春にやあるらむ


今は花のないはずの雪に閉ざされた冬でありながら、空から六花のかけらがちらちらと降りおちてくる。ははあ、なるほど。あの灰色にみだれた雲の向こう側はもう春がきているのだろう。

昨日と変わらぬ寒々とした景色のなかに、かすかな春の予感を期待する歌。

雲の向こう側では、すべての四季が大風にのって行き交い、地上に降り立つ日を待っているのだと考える。

深養父らしい、天象への親しみがこもった和歌である。

​私は彼の感受性が好きだ。


 
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